中国現地法人の監査に関する留意点

2025.12.01

年度末に近づき、中国現地法人の会計監査についてのご相談が増えています。中国に現地法人を持つ日系企業にとって、会計監査は単なる法定手続きではなく、ガバナンス強化やリスク予防に直結する重要な経営プロセスです。中国は会計・税務制度や業務慣行が日本と大きく異なるため、監査においても特有の注意点があります。以下では、日系企業が特に押さえておくべきポイントを解説します。

1. 中国会計準則(CAS)特有の処理
中国会計準則(CAS)はIFRS(国際財務報告基準)に近いものの、日本基準(JGAAP)とは細部に相違があります。政府補助金の認識基準、固定資産・無形資産の耐用年数、収益認識の条件設定、貸倒引当の計上判断など、現地で一般的な処理が日本本社の想定と異なるケースがしばしば見られます。監査ではこれらの差異を踏まえ、グループ連結への影響や会計方針の整合性を確認することが重要です。

2. 税務リスクとの密接な関係
中国では、会計データと税務申告の整合性が重視され、形式面の不備が即座に税務リスクにつながりやすいという特徴があります。特に、発票の入手・照合・管理、関連者取引と移転価格文書化、駐在員の給与税務、現地当局への役務提供証明資料など、税務上の論点は多岐にわたります。会計監査の場でこれらの税務連動リスクを把握し、早期是正につなげることが、日系企業の安定運営にとって極めて有益です。

3. 現地監査人の選定ポイント
日本と言語・制度・文化の差異が大きい中国においては、監査人が日本企業特有のガバナンス、決算スケジュール、連結報告要求を理解しているかが極めて重要です。日本語での説明力、連結報告パッケージへの対応、税務当局の実務慣行への理解などは、監査の精度と効率を左右します。日中双方の制度に精通し、経営改善につながる指摘や助言を行える監査人を選ぶことが、企業にとっての大きな付加価値となります。

4. まとめ
中国の会計監査は、日本と異なる法制度・税務慣行・内部統制環境を踏まえた専門的な対応が不可欠です。適切な監査は、単なる法定要件の充足にとどまらず、税務リスクの予防、ガバナンス強化、グループ全体の財務透明性向上にもつながります。

弊社では、中国ビジネスに精通した財務・税務・会計の専門家が在籍しており、日常の法務・税務相談から、会計監査・税務監査まで、日系企業の現地法人運営を総合的にサポートいたします。現地実務と日本本社の要請を橋渡しし、安心・確実なコンプライアンス体制の構築を支援します。

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